かしネコ

本文

清瀬いわい

短編

第三話

初めての性交は八歳のとき。レイプだった。

夏休みの夕方、友人と遊んだ帰り道の途中で出会い頭に腹を強く殴られた。青い痣が今でもうっすらと残っている。道路に倒れて悶えるさまを粘ついた視線で見下ろす、小柄だった私の何倍もありそうな肥満体の男。指の先まで肥えた掌で衣服も下着も無理矢理破り捨てられ、生まれたままの姿になった私は四肢を振り乱し悲鳴を上げようとした。男の拳が空を切り、今度は私の頬を打った。顔が真っ赤に晴れあがるまで、何度も何度も、殴られた。だらりと脱力し、ようやく私が抵抗する意思を失ったと見ると、腰を下ろして両脚の上にのしかかった。膝が軋んで、何かが砕けるような音が聞こえた。男は構わず窮屈そうに身を屈め、私に口付けた。長い舌を伸ばし口腔をねぶり、殴られたときに折れた奥歯を探りあて、自らの口に移して飲み下した。顔も髪も首も胸も指も脇も腹も臍も唾液に浸されて、異様な臭気に支配されつつあった私の身体を、思うまま十本の指でこねくり回した。ひとしきり弄んだ後、男はベルトをはずし張り詰めていたジーンズを脱ぎ去って、鼻息を荒げ私の股間にいきり立った男根をあてがった。ためらいのない挿入。幼い女穴の粘膜は削ぎ剥がれ、肉は強引に押し広げられて断裂し、焼けた鉄の杭で串刺しにされるような激痛に私は再び叫び出しそうになった。慌てた男は道に撒かれていた砂利を握り掴んで、私の口いっぱいに流し込んだ。言葉を失った私を、男は容赦なく貫いた。愛液など分泌されるはずもなかったが、突かれる度に裂傷が増え、止めどなく溢れ出てくる血液が代わりに潤滑剤の役目を果たした。男の絶頂は早かった。最奥で放たれた大量の精液が傷に沁み血と混じり、淡い桃色になって結合部の隙間から漏れ出ていた。満足げに男は立ち上がり、萎びた男根を私の顔に向けて勢いよく放尿した。強烈なアンモニア臭が立ちこめて、私は意識を失った。


目が覚めたときは既に病院のベッドの上だった。

遅くなっても家に帰らない私を心配した両親が警察に通報し、近くの河川敷の草むらの中で転がっていたところを発見したらしい。私が気絶した後も暴行は続けられていたようで、全身に満遍なく精液、尿、糞便が塗りたくられていたという。

膣はもちろん、骨折した膝、砂利を飲み込んでしまった喉や胃など創傷は多く全身に見られ、心的なケアも含め退院が許されるまでに半年を要した。

それでも膣内の裂傷は完治することなく、現在に至るまで定期的な通院を余儀なくされている。

この事件はマスコミに大きく取り上げられ、全国紙でも一面を飾り、ニュースでは連日犯人の残虐性についての考察が行われた。

当然クラスメイトたちにも知れ渡り、対応に困ったのだろう、親しかった友人すらも学校に戻ってきた私を避けるようになった。

犯人は、今も捕まっていない。


その後もレイプ被害は続いた。

毎回違う男だったが、やることは大して変わらなかった。小学校を卒業するまでに計四百八十八回。しかし両親や警察、メディアに知られたのは最初の一件だけだった。私が隠し通したからだ。

幼いながらも抵抗すれば過剰に傷付けられることを学習し、極力男に従うよう心がけた。衣服も破かれる前に自主的に脱いで、挿入され膣の傷が開いても我慢して、気絶しないように唇を噛み自らを奮い立たせた。ほとんどの場合、一度射精すれば男は満足してその場を去った。

身体が汚れた時は冬でも事後に河原で身を清めた。少ない小遣いからタオルを購入し常にランドセルにしまっていた。洗濯物に出せば両親に怪しまれるので、何度か使用した後は道端に捨てていた。


中学も同じ学区の公立校だったので、私の過去はあっという間に周囲に知られることとなった。小学生の頃より酷くなった無視は、次第に暴力を伴ったイジメに変化して私に降り掛かった。

イジメは瞬く間にエスカレートして、一年生の秋には性的な暴行を受けるようになった。

休み時間はトイレに連れ出され、早抜き選手権と称して次の授業が始まるまでに何人の男子を射精させられるかを計測された。記録が伸びないときは腹を蹴られた。

放課後は運動部の部室を回り、精液便所として先輩も後輩も、学年を問わず部員たちに輪姦された。

同級生の女子から、教室に備えられたモップで膣肉を抉られたこともあった。

帰り道での見知らぬ男による強姦も、今まで通り続いた。


毎日どこかしらで避妊を無視した性交を行っていたが、不思議と妊娠することはなかった。初めて性器を傷付けられたあの日、既に私の子宮はその本来の機能を失っていたのかもしれない。


この頃から、果たしてレイプに対して拒絶感や嫌悪感があるのか、自分でもわからなくなってきていた。しかし現状からの脱却は必要と感じ、試行錯誤を繰り返すようになった。


高校は私立の女子校を選んだ。家からもやや遠く、電車で通うことになった。同じ中学で進路が重なった人間はひとりもいなかった。

それでもあの事件と、被害者が私ということ、そのせいで中学時代にどんな扱いを受けていたかは筒抜けだった。人と人の繋がりは意外に狭いものだと思い知った。

女子だけのイジメは陰湿さで言えばこれまでとは比べ物にならず、また集団暴行も当然のように行われた。相手が同じ学校に通う男子から、女子と親交のある男に変わっただけだった。

行動半径を変えるための電車通学も裏目に出た。ほぼ毎日、登下校時に痴漢に身体を弄ばれた。車内だけならまだしも、駅から出た私を尾行し人気のないところで襲いかかる者もいた。

犯される頻度が増しただけだった。


他人の過剰な性的欲求に曝される原因は自分にあるのではないかと思い、ファッションやメイク、仕草を意識して変えたこともあったが、効果はなかった。

結局のところ、これは私が生まれ持って身につけてしまった望まぬ『才能』のようなものなのだと、心の中で結論付けて——諦めた。


抗いようのないことだと悟った私は、共学の大学へと進学した。

軽い気持ちで入ったサークルの新入生歓迎会。その二次会で早速輪姦された。

危険を察したのだろう、他の女子は一次会で全員帰宅していた。カラオケ店のパーティルームで私ひとりを無数の男が貪った。ビデオも撮影され、脅迫の材料にされた。

女子との交流が減ってイジメはなくなったが、その分男根と接する機会は更に増えた。講義がないときはサークルの部室に呼び出され、全裸に剥かれ四肢を拘束され、壁に鎖で繋がれた首輪をはめられた。部室の扉に鍵はかけられておらず、誰でも自由に入れる状態だった。泊まり込み、夜通し代わる代わる犯される日もあった。

レイプはすべて無抵抗で受け入れるようになった。そのうち、これも私の中で心地よい快感に変わるのではないかと考えながら。

しかし結局のところ私は被虐趣味ではなかったらしく、男が一方的に快楽を甘受しているのはあまり面白いものではなかった。

そこで私は、自分の身体で性的快楽を得ることができないように改造しようと考えた。思えば突飛すぎる馬鹿げた考えだが、当時の私にとっては最高のアイデアだったし、何より今の私が私でいられるきっかけでもあった。

通信販売で特大のフィストディルドーを購入し、自宅で自らを貫いた。肥満体の男に初めて犯されたときのように血が噴き出したが、大して痛みは感じなかった。これまでに受けた仕打ちで、感覚が麻痺してしまっていたのかもしれない。

これを毎日繰り返し、次第に私の膣孔は拡張されていった。締まりが悪く、どれだけ挿入しても男根に快楽を与えられないほどに。

サークルの男たちは、その原因を彼らが連日私の身体を弄び、『使い潰して』しまったためだと勘違いした。

私は今後彼らが私をどうするのか話し合っているのを、じっと見つめていた。

彼らの結論は、私の肛門を性器として開発することだった。頭からローションをかけられ、徹底的に指と玩具で夜通し尻穴を拡げられた。朝日が昇る頃には、私のアヌスは男を受け入れていた。

やはりこれも面白くはなく、同様に肛門もフィストディルドーで拡張した。前よりは時間がかかったが、後孔も、快楽目的には使えない代物となった。

私の緩みきった身体に男たちは困惑したが、この問題は意外と早く解決した。すぐ後に行われた新年度の新歓で、新しい『女子部員』がひとり手に入ったらしい。

使い古された私はもう用済み。サークルからも脱会したことにされ、彼女と入れ替わるように部室から追い出された。扉の前まで引き摺られ、衣服と共に全裸で外に放られる私を見る彼女の視線が、とても印象的だった。


今までの行為を望んでいたわけでもなかったのに、私の心はどこか空虚な気持ちに支配されていた。

とりあえず服を着て、ひとりふらふらと自宅への帰路を辿っていると、突然背後から押し倒された。

見知らぬ男。この頃はほとんど部室で過ごしていたので、大学の外で出会う暴漢は久しぶりだった。

男は鼻息を荒げ、スカートをまくりショーツを引きちぎった。自らも硬く勃起した男根をさらけ出し、野卑な笑みをたたえて私の中に入ってきた、そのときだった——

私は、生まれて初めて『悦楽』というものを感じたのかもしれなかった。


今の世の中、めったに人目につかない場所も、わざわざそこを素通りしようと考える無防備な馬鹿女も腐るほどありふれていた。

砂利を舐めさせ衣服を破り捨て、刃物をちらつかせれば女はすぐに黙った。気丈な態度を保とうとする奴も中にはいたが、白い腹に切っ先で赤い十字架を薄く描いてやれば、こちらが本気だということを簡単に理解して、小動物のように震えあがった。

念を押して、行為は手早く済ませる。女を気遣って感じさせてやる手間を省くだけなので、これはさほど問題ではない。

最後にケータイで、虚ろな瞳と精液を漏らすヴァギナをまとめて写真に収めてやれば、警察に駆け込む気などすっかり消え失せていくのが手に取るようにわかった。

リスクは低く、それなりのスリルで磨かれた快楽は高い中毒性を持ち合わせている。レイプはこの世で最も手軽で心地よい娯楽だ。男はそう思っていた。


最寄りの駅から歩いて一〇分ほどにある、大きな自然公園。昼間は柔らかな土の上をたくさんの子供たちが元気に駆け回っているが、夜を迎えるとその姿は一変する。

敷地の七割を鬱蒼と覆う樹々は月明かりを遮り、数の少ない街路灯ではそのすべてを照らすことはできない。公園を抜けた先には住宅地が広がっているが、たとえ近道であっても、地元の人間ならばここは避けて通る。実に、都合のいい場所。

午後九時。入り口近くの木陰で男は息を潜めていた。冷える両手を缶コーヒーに押し当てて暖をとる。

男には目当ての女がいた。数日前に見かけたばかりで、歳は二十代の半ばを過ぎたころ。肩甲骨まで下ろした髪は黒いままで、顔やスタイルは中の上ほど。美女ではないが不思議な清潔感を匂わせていて、その場でなりふり構わず襲いかかって、徹底的に汚し尽くしてやりたくなるような、そんな衝動に駆られた。

尾行を繰り返し、勤め先と自宅の住所、駅からの帰宅ルートも突き止めた。引っ越してきたばかりなのか、この陰鬱とした公園にも平気で足を踏み入れ、真っ暗な森を斜めに突っ切って毎日安アパートまで帰っていく。本当に、都合のいい女。

スチール缶がだいぶ軽くなってきた頃、甲高い足音が乾いた空気に響いた。間違うはずもない、あの女がやって来た。

グレーのジャケットとスカートに黒いパンプス、ブラウンのパンティストッキング。年不相応な地味さだ。ファッションに無頓着なのか、あるいは自信のなさの表れか。こういう女は扱いが簡単で助かる。男の口の端が、ゆっくりとつり上がった。

今日も女は、ためらうこともなく公園の入り口を抜けた。タイルが敷き詰められた広場を横切って、深い暗闇の方へと進んでいく。股間が既に熱くなりだしているのを感じながら、今はまだ気付かれないよう、息を殺してゆっくりとその後をつける。

およそ三分ほどだろうか。敷地内のちょうど中心、物音がもっとも外に漏れづらい場所にたどり着いた。男はあえて大きく、静寂を突き崩すように土を踏み締める。

女が立ち止まった。気配を探るように少しだけ肩をすくめる。振り返ることはしないが、気付いたのだろう。剥き出しの害意が背後から漂ってくるのを。

ひとつ、息を深く吸って女は走り出した。当然、男も飛び出す。スピードの差は歴然、距離はどんどん詰まっていく。男の手が届くまで、あと五メートル。四、三、二、一——

不意に、男の視界から女の姿が消えた。短い悲鳴と、地を削る音。パンプスの片割れが弧を描いてあさっての方向に転がる。脚をもつれさせて、女が転んだのだった。

舞い込んだ僥倖に、男の頬が緩む。だらしなくにやついた顔を隠しもせず、ゆっくりと女の足元に近付いた。

「アンタもついてないね」

女はうつぶせの上半身を捻って起こした。初めてお互いの視線が交差する。見開かれた瞳孔、震える唇、強張る肩。夜目の効いた男の瞳は、犯すようにその身体を舐め回した。

「いや、いやぁ……っ」

腰が抜けたのだろう。どうにか逃げようと腕の力だけで這いずるが、その歩みは亀よりも遅い。それでも必死になって背中を揺らす女の、ストッキングに包まれただけの足の裏を、男は思い切りスニーカーで踏みつけた。

「あぎッ——!」

濃茶の繊維が千切れ、白い素肌が露になって、更に赤い血が滲む。男は何度も何度も靴底を叩き付けた。

「いッ、やぁ、ヤメ……ぅああ!」

小さな爪先がぷっくりと腫れ上がった頃、ようやく男は足をどけた。

「これで、もう逃げられねえだろ」

そう言って懐から細身のナイフを取り出し、涙に濡れる眼前に突き付けた。

「馬鹿なこと考えんなよ。大人しくしてりゃ、すぐ終わらせてやるさ」

切っ先を下ろし、シャツのボタンを切り落としていく。スカートも縦一文字に切り裂くと、揃いの真っ赤なブラジャーとショーツが覗いた。

「中身は結構ハデなんだな。これから彼氏とお楽しみだったか?」

「おねがい、お願いだから……」

耳を貸さず、ブラジャーもナイフで切り捨てる。着やせするタイプだったのか、思っていたよりも豊かな乳房が解放され、たゆんと弾む。

「こいつはなかなか……」

あまり時間はかけられないが、思わずその柔肉に手を伸ばしてしまう。冷えた指先に、まろやかな感触が優しく伝わってきた。

「あぅっ」

女は短く吐息を漏らす。

「なんだ、感じてるのか」

「そんなこと——ひぐッ!!」

言葉は悲痛な叫びで遮られた。男の五本の爪が、強く強く右の乳房に食い込んでいる。

「痛ッ——」

振りほどこうと身をよじるが、掌はがっちりと肉塊を掴んで離さない。

「悪いけど、お前を気持ち良くしてやるつもりはないんでね」

と、下卑た笑顔をたたえながら男はゆっくりと手を離す。乳房には大きな歯形のような跡が残り、ここからも血が滲み赤く染まった。

女の下腹部へと手が伸び、ストッキングと残された下着が強引に引き千切られた。

「あぁ」

浅黒くはみ出した皺だらけのひだが二枚並んで、わずかに隙間が開いている。使い込まれたグロテスクな雌穴。扇情的な下着といい、見た目によらず遊び慣れしているのかもしれない。

「見ないで……」

尚も懇願を繰り返すが、身体はされるがままだ。恐怖に身がすくんで指の一本も動かせていない。

男はジッパーを下ろし、いきりたった肉棒を取り出した。それは今にも暴発してしまいそうなほど硬く張り詰め、浮き立った血管は激しく脈動していた。

「それじゃあ、楽しませてもらうぜ」

腰を屈め、女にのしかかる。待ちに待っていた。『まさか自分がこんな目に遭うなんて』。頭の悪い女の根拠のない自信が崩れ落ちて、絶望に染まり、ただただ至高の快楽をもたらすだけの哀れな玩具に成り下がる、この瞬間。膣肉を抉る度にポンプのように溢れ出る涙もいいが、やはり一番最初のひと突き、いわば心の処女をズタズタに引き裂くこのときを、男は最も楽しみにしていた。

膣口に亀頭をあてがい、深呼吸をひとつ。息を飲んで、男は全力で腰を打ち付けた。


——すかっ。


そんな音が聞こえたような気がした。

「——あ?」

男は思わず、二人の結合部を覗き込んでいた。確かに、勃起したペニスは、目の前のヴァギナの中へと根元まで突き立っている。それなのに、なぜ、

「何も、感じ——」

もう一度、雁首が露出するまでゆっくりと腰を引いて、思い切り腰を突き出す。それでも、何も感じない。肉棒を摩擦するものが、何も存在しない。訳もわからず、何度も抽送を繰り返した。

「なんだ、何なんだよこれ……ッ」

どれだけ穴を貫いても、その奥で待っているはずの刺激は、快楽はなかった。こんなこと、今の一度だってなかった。どれだけ使い込まれ緩くたるんだ肉壷でも、一度恐怖に陥れば強張り押し返すようにきつく締まって、すぐに絶頂していた。

男は混乱した。確信していた未来に裏切られ、根拠のない自信は崩壊し、絶望に染まって、

「これじゃあ、まるで俺が——」

頭を上げて、女の顔を見やった。

そこには、涙で濡れる玩具などなかった。頬は朱に染まり、半開きの唇からは熱を帯びたため息が漏れていた。瞳は貪欲に輝き、それでいて慈しむようにこちらを見つめていて——まるで、玩具からもたらされる快楽を心から楽しんでいるような、歪な笑顔。

再び、視線が交差する。自らのすべてを飲み込んでしまいそうな、暗い暗い孔。

「ヒッ——!!」

引きつった悲鳴が、夜の公園にこだました。


「痛った……ここまでされるとは思わなかったなぁ」

腫れた右足をかばって、私は樹の幹にもたれかかった。

「でも、まあ、うん。お陰で盛り上がったし。八十九点ってところかな」

満足げに頷く。衣服や下着と、どこかへ飛んでいって、見失ってしまったパンプスは少しだけ勿体なかったけれど、見返りは大きかったからよしとする。

結局彼は、すぐに何かをまくしたてながら走り去ってしまった。股間のものを出しっ放しにして。

「ンふふ、たまらなかったなぁ……あの顔」

思い出すだけで、頭の中が痺れるように疼く。

これで何人目だろう。もう三桁はとうに超えただろうか。極限状態で圧倒的優位に立てれば、望むものは必ず手に入る。そんな根拠のない自信は、たった一度、ちょっとした想定外の出来事で簡単に、一気に崩壊してしまう。本当に、強姦魔という人々の思考回路は似通っているようで、私は思わず吹き出してしまった。

「もう私のカラダは、人間向けじゃないものね」

そう言って、地面から高く盛り上がった太い樹の根にまたがる。彼が放置していった剥き出しのヴァギナが触れた。

「ん——しょッ」

体重を乗せて、思い切り秘唇を押しあて、擦り付ける。硬い木肌に肉が抉られ、ごりゅ、ごりり——と悲鳴を上げる。

「あン……イイ感じ」

リズムをとって腰を振り乱す。小陰唇が裂けるのがわかった。

「ふァああ……」

傷口から熱が全身に広がって、私を恍惚の海に溶かしていく。度重なるレイプと自ら行った拡張で、私の神経は完全に狂っていた。

「もっと、もっとぉ……」

私は樹木とのセックスを続けた。先程まで私を犯すつもりだった彼のことを思い出すと、快楽は何倍にも膨れ上がった。

大陰唇が、尿道が、膣口が、クリトリスが、赤い愛液を噴き出しながら快感に打ち震えて踊った。絶頂の気配を察し、私はひときわ強く、樹の根に股間を押し当てた。

「あ! イクっ、イク——ッ!!」


腿の間から血をだらだらと垂れ流しながら、私は土の上に寝転んでいた。

彼に手酷くやられた足の痺れがなかなか納まらない。歩くのはもうしばらく難しそうだった。

「いっそこのまま、二人目、来てくれないかなぁ」

きっと、今までと同じように私を犯し、そして絶望して、逃げていくのだろう。私はそれを『おかず』に、こうしてひとり淫らな夜を繰り返すのだろう。これからも、ずっと。

「あのひとなら、違う顔を見せてくれるのかな——」

私は夜風に髪をなびかせながら、私を最初に犯した肥満体の男のことを考えた。

夜空は樹々に隠され、宵闇の境界線はどこまでも曖昧だった。

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